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「ついに、私の超能力を以てして落とさなければいけな事となったか。」
まずは、そこまでに至る経緯を説明しよう。
もはや洗って落ちるレベルのシミではないと、復元再生加工の見積もりを付けてお返しした。さすればお願いしますと依頼を受けたところから始まっている。
見るからに手ごわそうな時間のたった古そうな血液のシミ。
案の定シミ抜き機の水性ガンでアタックしても、ピクリとも変化なし。
ならばと血液を落とす専用シミ抜き剤にタンパク質分解酵素を混ぜ、乾燥しないようにしてしばらく放置。
これをすれば少し位は落ちるはずだが、変化がなかったに等しい。
次の手段として部分漂白をすれば薄くなっていくものの、全てをこの作業で落とそうとすれば、おそらく生地の色落ちまで覚悟しなければならない。
「嫌だ、そんなの嫌だ。」
そこまでして落とさなければいけないシミもあるが、今回はそうではないはずだ。
そこで今までの作業をここで諦め、奥の手を出すこととした。
ここからが本題だ。
ある程度シミが落ち始めたところに、先にやった血液を落とす専用シミ抜き剤にタンパク質分解酵素を混ぜものを再度使用する。今回は何が違うのかと言えば、そこに私のハンドパワーを加える。
薬品をぬったシミの部分を表裏ラップではさみ、そこに私のハンドパワーを加える。
シミの部分の温度が上がっていく。酵素がよく効く温度だ。
言っておくが、温度の上昇は掌の体温のおかげではない。紛れもなく私のハンドパワーが温度の上昇をもたらしているのだ。
しばらく経った後、濯いでみれば見事に血液が落ちていた。
「はい~ぃぃぃ!」
♪チャラララララン チャラララララン・ラ・ラン チャララララン……♪
「ハンドパワーです!」
超能力集団「愛知洗い人」、是非(笑)。
「愛知洗い人」
(株)木村クリーニング 木村 照臣