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「おじさん、まだ~。」

後ろから、ふとそんな子供の声が聞こえてきた。

 

すると私より後から来た横の子供が、

用が終わったのかそそくさと去って行った。

 

そこに先程の子供が来ては素早く用をたし、

またもやそそくさと去って行く。

 

「遅いと思うなよ。」

「こちらはこちらで大人の事情があるのだよ!」

心の中で叫んだ。

 

明くる日も同じような場面が訪れる。

 

もやはプライドが保てなかったのか、

心の叫びは口をついた。

 

「お主も、まだまだ子供よの~。」

 

意味不明だ。

明らかにセリフのシュチュエーションがおかしい。

 

「だが、精神年齢はお前より若いぞ。」

 

負け惜しみも、ここまでくれば立派ではあるが、

こやつ、既に終わっている。

 

「お前のせいだからな~。」

「お前が急がせるからだぞ~。」

 

尿漏れを起こしたらしいが、

精神年齢が子供より低いと言っていたのは、どうやら単なる負け惜しみではなかったらしい。

しかし尿漏れは、ある年齢以上になれば致し方がない事。

 

 

直ぐにウェットクリーニングをすれば事なきを得る。

だが、何もせず時間が経てば黄ばみとなって表れシミになる。

 

「おじちゃん、何してるの~。」

 

子供が話しかけてきた。

 

「シミ抜きしているんだよ。」

「何のシミなの~。」

「子供にはまだ早いな~。」

「大人のシミ抜きだから。」

 

またもや、器の小ささを感じるプライドが顔を覗かせた。

 

「愛知洗い人」木村 照臣

(株)木村クリーニング

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